279話 2017年の総括 


道北地方で29年もの長い期間イトウ釣りをしてきたが、いまだに初めての釣り場を見つけたり、想定外の大物に遭遇したりする。それは非常に新鮮な経験であり、あらたな釣り意欲をかきたてられたりする。この広いエリアにまだまだ少なからずイトウが安定して生息していることに感謝したい。

2017年は5月の黄金週間明けから11月の結氷までイトウ釣りをした。目標は年間百匹であったが、最終的に95匹で納竿となった。512匹、624匹、717匹、817匹、912匹、1011匹とまずまず安定した釣果であったが、11月に2匹と急ブレーキがかかった。2016年も同様であったが、ここ2年は冬の到来が非常に早い。そのため初冬に十分な釣りができなかった。残念な結果であったが、地球規模の気象の変化でこれからも冬の早い到来は繰り返される可能性がある。

95匹のイトウの平均体長は54.5㎝で、この数字も過去の成績とそれほど変わりがない。私の主要な釣り場が中流なので、こういう結果になる。中流を捨て、常に下流でやれば平均体長は上がり、数は激減することだろう。

100㎝超えはなく、90㎝級2匹、80㎝級2匹はちょっと寂しい結果であった。大物を期待したホームリバー下流での不振が響いた。その代わり7012匹、60㎝級26匹と中型はしっかりと釣れた。50㎝級以下の若魚は53匹であり、イトウの世代交代はうまくいっているようだ。データを取るようになってからの24年間の数字を見ると、50㎝級399匹をピークに、イトウの体長はきれいな正規分布を表している。

イトウの釣れた時間を見ると、朝はコンスタントに釣れているが、午後の1314時台にもうひと山釣れる時間帯がある。これは私がよく昼から出陣する習性によるものだ。私は夜釣りをしないので、暗くなってからのデータはない。

水温とイトウの釣果は、14℃台14匹、15℃台16匹と予想通り「活性の高い水温」は変わりがない。ことしは冬の到来が早く、積雪期にあまり竿を振らなかったので、0℃から4℃台の釣果が無かった。その反対に20℃以上で8匹を釣った。とくに25℃台の高温でも1匹出た。いわゆる夏イトウだ。これには驚いたが、イトウは案外高水温でも活性を保っているのかもしれない。

天気とイトウの釣果では、やはり曇が51匹と過半数を超え、ついで快晴30匹、晴10匹となった。雨でも霧でも雪でも釣れるのだが、私という釣り師が、歳をとって悪天候を避けるようになっていることは否定できない。

イトウの川は、過去5年間では4河川に限定されていたが、2017年は新たに1河川を集中的に攻めて、合計5河川となった。新たにルーチンになった河川は、とくに真夏に釣果があがった。私は夏場の釣りが苦手だったので、この「開眼」は大きい。各河川の釣果に変遷が見られるのは、その河川のイトウ生息数の増減だけでなく、洪水などの気象異変や河川工事が係わっている。大規模な河川工事がはじまるとイトウが釣れなくなるのは自明である。

私はルアー釣りをしている。ルアーの種類別のランキングでは、RANGE VIB 80ES 44匹、DDPanish 41 匹、MM137匹となり、その他はワーム2匹、TIGRIS 1 匹であった。

イトウ釣りの達人たちの仕掛けを見せてもらうと、私のように市販の製品を使っている(フックは交換するが)人は少なく、自作の仕掛けや自作ルアー、海外から通販で取り寄せたワームなどを駆使している人が多い。その並々ならぬ努力には敬意を抱いているが、私は不器用で輸入手続きも面倒くさくてできない。

釣りのできない冬場はこうして総括しながら、来季の構想を練っている。まだ冬のはじめだが、心はすでに春に飛んでいる。