247話  2014年のイトウ釣り


 2014年のイトウ釣りが終了した。私にとっては21年目のシーズンであった。すでに宗谷の河川は結氷し、氷上穴釣りをやらない私はオフになった。オフの使い方はいろいろあるが、モノづくりの上手な釣り師は、ルアーだのタモ網だのをコツコツと作成して、次のシーズンに備えることができる。しかし私にはその才がない。私にできることは、「イトウおじさんの話」を書くことくらいだ。毎年やっていることだから、「2014年のイトウ釣り」を集計データから振り返ってみよう。

 毎年[100匹・100]が目標である。イトウを100匹釣って、その中の1匹をメーター魚とすることだ。しかし2014年もそれはかなわなかった。私の釣り場は100匹釣るために河川中流部やさらに小河川である。そこには基本的にメーターはいない。たまにはメーターを狙って下流部や河口近くでも竿をふるが、慣れないことだから簡単にはいかない。なぜなら、私が得意なのは移動釣りであり、大物狙いの定点釣りは好きではないからだ。

 2014年は、数は111匹と百匹をクリアしたが、最大魚は96㎝・9.8kgであと4㎝足りなかった。これは惜しかった。2004年に[99匹・100]を記録したのに次ぐ惜敗だった。しかしどちらかというと、年間百匹超えを第一目標にしているから、それは3年連続して達成できて満足している。

 90㎝台はたった1匹で、もっとも多いのが50㎝台33匹であった。平均は51.4㎝である。体長の分布図をみるとみごとに正規分布した。中流部釣りの特性がよく表れている。

 年間釣果を構成する各月の数字をみると、5月の17匹は非常にいいスタートであった。おそらく冬の少雪のせいで、例年より雪解けが早く進行しからだ。ところが量産できるはずの6月下旬に渇水と水温上昇が出現し、620匹、710匹とまったく期待外れの釣果となった。8月も苦戦したが、最後の2日間で11匹という思わぬ量産があり、23匹に達した。雨台風で膨れ上がった川が、ようやく減水した日のパラダイスだった。9月は着実に数を伸ばして23匹。10月は週末ごとに仕事やエベントでまともに竿を振れなかったが、結果は11匹となった。11月は例年どおり荒天が多く、急ブレーキがかかって6匹、12月は初旬に1匹だけ釣った。「ことしはクリスマスの頃まで釣りをしよう」意気込んだが、寒波の襲来で川が結氷してあえなく納竿を迎えた。

 イトウの釣れた時間帯をみると、なんと午前より午後のほうが多く釣っている。とくに14時台、15時台という常識的には魚が釣れない時間帯だ。これは私の仕事の性質が変わって、そのあたりに出陣することができるようになったからだ。私の釣り場では、回遊魚はほとんどいないので、居着き魚はいつでも釣れるということなのだろう。

 水温とイトウの釣果をみると、やはり10℃台から19℃台に固まっていて、とりわけ15℃台は18匹と頭抜けている。イトウは15℃で一番活性化する。ことし初めて24℃台で1匹釣った。中流部の瀬であった。イトウにとって暑くてたまらない時でも、瀬であれば食いつくことがあるのだ。

 天気をみると、快晴54匹、晴18匹、曇36匹、雨2匹、霧1匹であった。川釣りでは曇天が最高という常識が崩れた。2014年は快晴が多かったということか。

 イトウの川の名前は伏せるが、A川が78匹、B川が26匹、C川が5匹、D川が2匹となった。ドル箱河川のA川とB川の順位は変わらない。

 最後に使用したルアーを開示すると、多い順にRANGE VIB 80ES51匹、sumari MD90F27匹、DDPanish14匹となった。VIBは主に立ち込めない深場、他の2種は立ち込み釣りで使用した。私はルアーをあまりいじらないが、フックは替えて大きく太いものにしている。イトウは川床にへばりついて定位しているので、そこに到達するルアーであれば、どんなものでもよい。なにを選択するかは、釣り師の好みによる。