180話  ウェア


 釣りシーズンを前にして、ウエアの話を書こう。

 アウトドアブランドはいまや百花繚乱の趣があり、街にも専門店が多い。私は釣り人だから、釣りに適したウエアが必要だ。それらは保温性、通気性、防水性、耐久性、デザイン、色などを吟味し入手する。夏の釣りなら、何を着てもなんとかごまかせるが、冬の釣りでは寒いと釣り場に立つこともできない。

 私は以前からダイワ製鮎釣り用のタイツを愛用している。これは、水中での機動力、安全性、保温性でウエーダーとして群を抜いている。鮎釣り師の中には、これを身につけて、激流に首まで浸かっている人物もいるくらいだ。多少の暑さと若干高価なことが欠点だが、それを差し引いても満足できる。同じ製品をもう何着も着古したので、お古はそのまま補修材料に使っている。穴があくと材料を貼り付け、ソールが磨り減ると新しいのを接着している。

 カッターシャツは、釣りでも街でも着られるので、釣り専用ではないが、やはり使い勝手は、ポケットが大きくてきちんとボタンが付いているものがいい。財布を防水袋に収めたうえで、ポケットに入れるのだから、相当大きなポケットが必要となる。釣りに半袖シャツは適さない。アウトドアでは、予期せぬ外傷や虫刺傷や皮膚かぶれや急な寒さに見舞われることもあるからだ。冬はポリエステル系や羊毛、夏は綿製を着ている。

 フィッシングジャケットは、あれこれたくさん持っている。雨具としての防水性能と風除けフードが大事だ。多くのポケットには釣りの小物や、携帯食を収める。夏の暑いときは、くるくる丸めて、腰に巻いたりしている。

 帽子は身体の保護のために必要だ。低温でも高温でも保温できる。私は鳥打帽が好きで、よく店で衝動買いをする。英国製のパッチワークの帽子はおしゃれで気に入っているが、よく失くする。気温が低いときには、耳覆いも欲しい。

 偏光メガネは掛けたほうがよい。私は以前には偏光メガネを着用しなかったが、掛けてみて、あまりにも水中がよく見えるので驚いた。川中に立って釣りをしている私のわきを、大魚が平気で泳ぐ姿をなんども目撃した。それにメガネは眼の保護に不可欠のアイテムである。根がかりしたルアーを引っ張ったら、猛スピードで眼を直撃することもあるのだから。

 ネックウオーマー、手袋はやはり寒い時期に利用する。首が温かいというのは、保温のキーポイントになる。寒冷期以外で手袋が役立つのは、ルアーのトラブルでラインを引っ張って切らなければならないときだ。素手でやると、皮膚などナイロン糸でスパッと切れる。

 フィッシングベストは、良質の品が欲しい。なんといってもポケットの数と容量とファースナーがものをいう。去年から使っているシムスのガイドベストは使い心地満点だ。

 アウトドア用品は、どういう季節のどんな気象条件で着用したかを詳細に記載しておくと、たいへん便利だ。例えば気温0℃の雪の日のアイテムは、インナーからアウターまであれこれと記録し、寒かったとか、暑すぎたとか書いておくと、つぎには最高の資料になる。

 ウエアは多少おしゃれなものがよいとおもうが、私は衣装センスがないので、どうこう言える立場ではない。ただし個性はやはり必要で、カタログそのままというのは好きになれない。プロは契約メーカーとの関係で、ロゴワッペンを付けたり、コーディネートが決まったりするそうだが、私はそういう規制は受けなくて済む。